鄭成功と人形浄瑠璃

鄭成功 と言えば、台湾では誰もが知る英雄です。「明」の側に立って「清」と戦い、清に敗れたあとは台湾に渡り、当時台南を支配していたオランダを降伏させて鄭政権を樹立しました。

只要說到鄭成功，在台灣是無人不知的英雄。和「明朝」對立的「清朝」戰鬥、被清打敗之後就敗退到台灣、將當時被荷蘭所支配的台南納入手中，建設了新的鄭氏政權。

実は、鄭成功は中国と日本のハーフで、生まれは日本です。少し鄭成功の父親の歴史を追ってみましょう。

實際上，鄭成功是中日混血兒，出生於日本。讓我們一起來追尋鄭成功父親的歷史吧。

１６０４年（日本で言えば徳川家康が江戸幕府を開いた翌年）、福建省・泉州の裕福な貿易商の鄭家に「芝龍」という男の子が生まれました。鄭成功の父親になる人です。

1604年(在日本，是德川家康開創江戶幕府的第二年)、福建省泉州富裕的貿易商鄭家生了一個叫「芝龍」的男孩。這便是鄭成功的父親。

青年になった芝龍は貿易船に乗るようになり、長崎の平戸に住み始めました。彼は剣の腕も立ち、才智に長けた男だったので、平戸藩士・田川氏に見込まれて、その娘を妻にすることになりました。 名前を「松（まつ）」と言います。

成為青年的芝龍乘坐了貿易船，開始住在長崎的平戶。 因為他是一個劍術高超、才智出眾的男子，所以被平戶藩士・田川氏看中，而後此女便成為她的妻子。 名字叫「松（まつ）」。

１６２４年、二人の間に男の子が生まれます。幼名「福松(ふくまつ)」、のちの鄭成功です。

1624年，兩個人之間所生的男孩。 乳名「福松(ふくまつ)」，這就是之後的鄭成功。

芝龍は船に乗って貿易の仕事を続けました。貿易といっても、海賊或いは武装した密輸商といった方が的を得ているかもしれません。そのうち芝龍は集団トップへと昇りつめます。そして妻子を連れて福建省に渡りました。

芝龍坐船繼續做貿易工作。 雖說是貿易，但說是海盜或者武裝的走私商可能更為合適。芝龍的位階更是上升到了集團的頂端。於是帶著妻子去了福建省。

その頃、清との戦いで弱体化した明政府は芝龍に目を付け、彼を軍の重責に付けました。 海賊の首領が、何と、明朝の大官になったわけです。 そして、芝龍・まつ・成功それぞれの、波乱に満ちた戦いが始まります。

那個時候，在與清朝的戰鬥中弱化的明政府注意到了芝龍，將軍中的重責委任於他。明明是海賊的首領竟然成為了明朝的大官。然後，芝龍、松、成功各自展開了充滿波折的戰鬥。

鄭成功は日本でも好きな人が多い人物です。それは、江戸時代、「人形浄瑠璃」で鄭成功をモデルにした「国性爺合戦」という演目が上演されたことによります。

鄭成功在日本也是喜歡的人很多的人物。 那是因為江戶時代，用「人形淨琉璃」上演了以鄭成功為原型的「國性爺合戰」。

人形浄瑠璃は、歌舞伎、能、狂言などと共に日本の代表的な古典演劇です。歌舞伎と同じく江戸時代に庶民の芸能として誕生した人形劇で、2008年世界無形遺産に登録されています。

人形淨琉璃和歌舞伎、能、狂言等都是日本代表性的古典戲劇。 和歌舞伎一樣，是江戶時代作為平民的表演藝術而誕生的人偶劇，2008年被列入世界非物質文化遺產。

人形浄瑠璃の代表的な作家は近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)。鄭成功の活躍を描いた「国性爺合戦」は彼の代表作のひとつで、1715年に上演されて大ヒットしました。のちに歌舞伎の演目にもなっています。ただし、史実とはかなり異なる展開になっていて、近松は「国姓爺」を敢えて「国性爺」に変えたようです。

人形淨琉璃的代表作家是近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)。描寫鄭成功活躍的《國性爺合戰》是他的代表作之一，1715年上演後大受歡迎。 之後也成為了歌舞伎的演出節目。但是，與史實有著相當大的出入，近松大膽將「國姓爺」改成了「國性爺」。

台南には、鄭成功を祀った鄭成功祖廟があり、福建省廈門や金門島には鄭成功の巨大像が海を見渡しています。長崎県・平戸には鄭成功の生家の跡が残っています。

台南有祭祀鄭成功的鄭成功祖廟，福建省廈門和金門島上有鄭成功的巨大雕像遙望大海。 長崎縣平戶還留有鄭成功出生的痕迹。

鄭成功は、台湾にも中国にも日本にも愛された英雄です。敵方の清朝でさえ、彼を前朝の忠君として讃えたそうです

鄭成功是臺灣、中國、日本都喜愛的英雄。 據說就連是敵人的清朝也稱讚他為前朝的忠君。